吉野の四季/津越の春

春を呼ぶ “福寿草”

三月初旬の平日に、
幸福を招くという福寿草を見ようと
五條市西吉野町の山奥の集落を訪ねた。
この福寿草は、旧暦の正月に早くも花を咲かせるというので、
元日草とも呼ばれるというが、今年は寒い日が続いた為か、三月になって
ようやく咲き始めたばかり。この日も雪がちらついて、時々しか日が差さない中
所々の落ち葉の下からひっそりと、可憐な黄色の笑顔をのぞかせていた。


福寿草はキンポウゲ科の多年草で、アジア北部に広く分布しているそうである。
日本の山地にも自生していてるが、西吉野の此の地ほど群生しているのは珍しいそうだ。
ここでは、入場料など取ってはいないが、花の多い斜面は、下刈りをするなど手入れがよくされている。
見てまわれるように簡単な通路まで設けられていて、大事にされているのが分る。
個人所有の土地の筈なので、「こんにちは!花をみせてください」と入口の民家の人に声をかけて入っていった。
この時期、休日は見物にかなりの人たちが訪れるそうである。
特別には駐車場もないので、かなり離れたところで広い場所を見つけて駐車させてもらったが、地元の人には迷惑かもしれない。
ここは奥深い山の集落なので、食堂や土産物店なども無く、人々が来たところで村が潤うわけではない。
“あなたのマナーが自然を守る”というような看板が掲げられていた。

集落の上方にある真宗寺院・称名寺 福寿草/この寺院の下方の斜面に自生している 手入れの行届いた寺院の庭園



吉野の四季/西吉野・津越の春  平成20年3月6日掲出  戻る