式 内 社 剱主神社 つるぎぬし
祭  神:剣根命(あるいは天照大神)
鎮座地:奈良県宇陀市大宇陀区宮奥

社殿は南面して
日当たりの良い神社だが、
杉の大木が社叢を形成して
境内は直射日光をほとんど遮っている。
静寂でおごそかな雰囲気が漂う、神の坐すに相応しい杜である
剱主神社の杜


『寺院神社大辞典』によれば、当社は俗に「白石明神と」と称して白石群を神体としていたといい、延喜式神名帳宇陀郡『剱主神社」に比定されるが祭神不詳とされている。
『日本の神々』の執筆者の一人、小田基彦は、秋の例祭前に吉野河原屋の大名持神社へ詣でて吉野川の潮生渕で斎戒沐浴をする「大汝詣り」の風習を伝えている。
更同氏は、当社に程近い下宮奥と半坂にある同名の「剣主神社」にふれて、前者は以前「神戸大神宮」、後者は「天照大神宮」と称されていたことを紹介し、その祭神はいずれも天照大神であるとする。
また、『宇陀郡史料』では「其鎮祀せる所在に付きても異論ありて、式によれば一所一座なれども何時の頃よりかニ所ニ座となれり」と述べているという。
石柱には[式内剱主神社]と刻されている 境内入口 石柱側面は[大和国宇陀郡神戸村大字宮奥]とみえる

当社の鎮座地の西側には、熊ヶ岳(904m)と龍門岳(904.3m)があり、そこから流れ集った清水は、当社社前の宮奥川を経て東流して宇田川となる。
この辺りの奥地は、『日本書紀』にいう所の女軍(めいくさ)を置いたと謂う女坂(めさか)と考えられている。
『大和志』に「女坂は宮奥村の西に在り、十市郡と界す」とある。
―― 『日本の神々』「剣主神社」の項から要約 ――


 清き流れ宮奥川(西川)
杉の大樹に守られた厳かな 社  殿



       続・神々の坐す杜 かみがみのましますもり  30.平成19年12月08日掲出     戻る