環境保護について

●地球温暖化の影響

 大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)が地球温暖化の元凶といわれているが、温暖化は自然や生態系に様々な悪影響を及ぼしている。たとえば、異常気象が多発して洪水や旱魃、砂漠化の進行、極地の解氷による海面の上昇等々、人々の生活や生産基盤にも打撃を与えている。また、動植物の種や固体の減少など、生態系にも取り返しのつかない悪影響を及ぼし続けている。


国家間レベルでの取り組みの困難さ

 温室効果ガスの削減を目的とした1997年のいわゆる「京都議定書」批准の際にも問題になったが、各国の国内事情が絡み合い、その調整が難しくなかなか合意ができなかった経緯がある。

 アメリカと中国の対立(意見の相違)についてなどは、先進国と開発途上国の経済的事情において、深刻な問題を含んでいる。

1997年、世界の二酸化炭素総排出量の内、その四分の一はアメリカで一番多く、続いて中国の六分の一と続く。この時点でも中国は世界で二番目の二酸化炭素排出国であり、その中国やインドなどを議定書から除外することは、アメリカでなくとも容認できないことであった。

結果的にこの京都会議(COP3)では、先進各国の温室効果ガスの削減率を1990年のレベルを基準にして、EU諸国は8%、アメリカは7%、日本は6%と、大国の中国、インドなどを除外して、決められたが、後の2000年、最大の温室効果ガス排出国であるアメリカが「京都議定書」から脱退した。

このように先進国でも、それぞれ各国の産業背景事情があり利害関係が絡み一筋縄では纏めきれない。

この議定書に示された温室効果ガス削減を達成するため、後に京都メカニズム等を導入。日本は平成14年6月4日締結。さらに時を経てロシアの締結により発効要件が満たされ、平成17216日に発効したが、各国ともその数値の達成には困難が予想される。

 あとから導入された「京都メカニズム」にも問題が多い。二酸化炭素やメタンなどの排出量(排出削減枠)が取引できることになり、それが大きな市場を構成することになるというからである。その取引による利害関係、各国の産業事情、生産設備の近代化の度合(現状の公害防止設備の程度)や南北問題(先進国対開発途上国)もある。

それに排出量をどのように査定、監視するかという問題もある。

また、クリーン開発メカニズム(CDM)をどの国のどういう機関が、どのように評価・査定・算出するのかというような問題も複雑な国家間の思わくが絡むだろう。

いずれにしても規制数値の余剰を(或いは不足を)取引商品にすること自体が大きな問題なのではないだろうか。


個人的な取り組みについて

 個人的な取り組みとして、まず身近なことから始めたい。。
 マイカーの利用はできるだけ少なくし、乗った場合にはアイドリング・ストップをこまめに行うことでも排出ガスは減らせる。
 また、冬の暖房は室内温度を低めに(18℃くらいか)、夏の冷房は高い目に(28℃位)など、各家庭でのエネルギー消費をできるだけ減らすように心がけることでも、温暖化防止に貢献できるはずである。



●参考文献:『環境学入門』溝口次夫著、 『地球環境が危ない』塚田善信著